ウグイス考 | うぐいす色(鶯色)の怪 | Top > Nature > ウグイス考 > |
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うぐいす色(鶯色)の怪 | うぐいす色(鶯色)の歴史(1) | 絵画におけるウグイスの色 |
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「梅に鶯」本当は「梅に目白」というウソ | うぐいす色(鶯色)の歴史(2) | |
花札の鶯 | うぐいす色(鶯色)の歴史(3) | |
古代の鶯 | うぐいす色(鶯色)の歴史(4) |
付録 | 梅にメジロを描いて「梅に鶯」としている日本画が多いって本当? :ウィキペディアの記述 「古来絵画にある「梅に鶯」の主題を見ても、「梅に目白」を描いてしまっている日本画家も多い」 を実在の日本画で検証 |
梅に鶯」は中国から渡ってきた文化か このようなことが書かれたサイトの内容をチェック 中国から渡ってきたと言う根拠は全サイトでたった一編の詩を示すのみ |
ウグイスを見たこともないのにうぐいす色を知っている振りをする現代人が多い |
空色は空の色、鶯色はウグイスの色 鶯色はウグイスの色だと思うのは自然です。物の名前を借りた色の名前はそのものの色というのが当たり前で、幾分幅はあるものの、オレンジ色はオレンジの色、空色は空の色、ごく当たり前にできた言葉です。ウグイスは鶯色ではないという人は鶯色を知っていて言っているのかと思うと、実はそうではなさそうです。 広辞苑で鶯色を引きくと「鶯の背の色。緑に茶と黒のかかったもの」とありますし、他の辞書でも同様のことが書かれています。しかも、鶯色という色は日本工業規格の「物体色の色名」(JIS Z 8102:2001) に「慣用色名」として記載されて、色もきちんと定義されています。 1957年の制定ですからずいぶん前です。工業製品等の色の表現に誤解や認識のずれがないように、スタンダードを定めたものです。定めたといっても新たに色名を作ったわけではなく、昔からあった色と色名の標準化作業をしたにすぎません。 鶯色はその色名ができた昔からこういう色でした。ウグイスという小鳥の色が昔から変わっていないので当然です。そして、そのウグイスの色に基づいて日本の伝統色として日本国が国としてその標準色を定めたにもかかわらず世の中の多くの人がそれを無視し異なる色をうぐいす色と呼んでいます。 たぶん、ウグイス色を調べたこともない人達、つまり、ウグイス色を知らない者同士が間違ったウグイス色で共感しあっている不思議な時代、それが現代のようです。 しかも厄介なことに、言葉というものは間違って使う人が多ければ、それが通用してしまいます。 例えば、インターネットの多くのサイトにJRの「ウグイス色の車両」の記述があります。JRではその色を「黄緑6号」として決しウグイス色とは言ってないにもかかわらず、あえてウグイス色と読み替えている始末。そうやって、黄緑はウグイス色ですとの過ち情報をを増殖させているようです。 辞書でも、国の定めた規格でも、何よりもウグイスそのものこそが鶯色なのに。 日本工業規格をはじめとするネットで見つけた日本の伝統色、鶯色と鶯茶の色見本を下に示します。 色にはある程度の幅がありますが、鶯色に若草色や鮮やかな黄緑までを含む色幅はありません。 |
鶯色 | 鶯茶 |
706C3E |
6A5F37 |
Color Dream Net ;http://www.colordream.net/jiscolor1.htm JIS慣用色名のマンセル値を「色出し名人Millennium U」でRGB値に変換 |
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706C3E |
6A5F37 |
http://lib0.info/jp/frame/color_lib/ 色彩辞書 −Crimson Flare−主婦の友社「色の名前辞典」より | |
60581A |
56451D |
雑念の塊 ;http://homepage3.nifty.com/zatsunen/color/jpncol.htm 日本の伝統色(色の小辞典)財団法人日本色彩研究所編/福田邦夫著 読売新聞社発行)記載のCMYKデータを、 Adobe PhotoShop によりCMYK→RGB変換 | |
494918 |
473C1D |
きものくらぶ 色の広場 日本の色 ; http://www.hi-ho.ne.jp/sawai/club2/col0.html (参考文献:日本の伝統色:読売新聞社) |
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504F1C |
473C1D |
友禅ネット 日本の伝統色 ; http://yuzen.net/color/green/uguisu.htm |
どんな色をうぐいす色と言うかはその人の勝手----この不都合な真実 伝統色としてうぐいす色を検索すると上記のようになりますが、単にうぐいす色として検索すると下に示すように、かなり変化に富んでいます。インターネット上に登場するうぐいす色は様々です。どうしてこんなに多様な色をうぐいす色と呼ぶのかは明らかです。ウグイスそのものの色を知らずに、それぞれの思い込みの色をうぐいす色として使うのでバラバラになってしまうのです。うぐいす色と言う言葉は共通であってもその内容は、その色の元になるスタンダードすなわちウグイスを無視しているので各人によってずれています。ウグイスを知らず、イメージカラーとしてのうぐいす色を自信を持って使っている人が実際のウグイスを見たときには奇妙な現象が起こります。ネット上の彼らの発言は「ウグイスはうぐいす色をしていない」 そこで彼らは、本当のうぐいす色を調べることはせずに「ウグイスはうぐいす色をしていない」理由を考えます。 ウグイスとは異なるうぐいす色が世に出た理由として、「メジロをウグイスだと思った」間違い説、 「鶯餅の色をうぐいす色とした」イメージカラー説があります。メジロと間違えたのであればメジロの色からはそんなにずれないでしょう。下の例にあるような多様性は ウグイス=春 に引きずられたイメージがそれぞれの想いを背負って作られたとするのが妥当と私は思いますが、ネットの中では間違い説の方が人気があります。 何か不都合があれば他の人のせいにする昨今の発想にしたがって、この不都合な真実を 「昔の人がメジロをウグイスと間違えた」と表現するのです。 間違えたのは本人なのですが。 この問題は別の章で考えて見ます。→ うぐいす色(鶯色)の歴史(1) |
555a00 | 66700d | 928c36 | 6d9a4a |
ecf4db | c6fca5 | 99ff66 | 7bab4f |
ネット上ではこれらの色は別々の人々によって、どれも「うぐいす色」と呼ばれています メジロをウグイスと見間違えたのなら色幅はもっと小さいでしょう。 ウグイスを知らない多くの人達が、うぐいす色を調べることもせず、知ったかぶりでうぐいす色を使うのですが、それら知ったかぶり同士の間にはスタンダードがあるはずもなく、うぐいす色はそれぞれが思うがままの好き勝手な色になるのです。 と、ここまで読んだ人は、だからどうだ、と思うかもしれないし、やたら、好き勝手なうぐいす色を自分からは使わない方がよい、と考え直すかもしれません。 できれば、未来の人々と、日本の美しい春と、ウグイスのために、ごく当たり前の矛盾のない認識を人々が共有することが望ましいと思います・・・・うぐいす色はウグイスの色であると・・・・ |
鳥の羽の色は微妙で見る方向、光の当たる角度で変化します。参考までにウグイスとメジロの写真を並べて見ました。写真ではウグイスの羽毛の緑を帯びた陰影までは写りません。 |
ウグイス | メジロ |
鶯色はウグイスの背の色ですが、ウグイスを飼うことが禁じられている現在、管理人はその色を写真に撮ることが容易ではありません。 上記のウグイス写真は 東京医科歯科大学 生物学教室和田研究室のご厚意により掲載の許可をいただきました。(ウグイス写真の著作権は和田研究室にあります) |