ウグイス考 | 広重の鶯 追加情報 | Top > Nature > ウグイス考 > |
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広重の描くウグイス、多くは[梅に鶯」です。 この種の短冊はおよそ30×10cmほどの小さいもので現代の感覚では絵画というよりカードと言った方が良いでしょう。類型が沢山あって不思議に思えるのですが、想像するに、似たような絵柄でも、一句を添えると新たなものとしてそれなりの販売効果があったのでしょう。それらの句を見覚えたり、書きまねたりすることで、少しずつ読み書きのレッスンになったかもしれません。当時の就活においては、読み書きそろばんが文系の三大スキルでしたから、丁稚どんもよほど勉強しないと番頭さんにはなれません。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、メディアのない時代、、こんな小さなものでも読み方や書き方など教養を身につける一環になったのかもしれません |
@ | A | B | C | D | E |
→ 大きな画像を別ページで示します |
@〜CまではウグイスですがDとEは高麗鶯(コウライウグイス)、当時はチョウセンウグイス(朝鮮鶯)と言っていたようです。「高麗鶯」で画像検索するとこの絵のモデル写真が見られます。学名Oriolus chinensis ですが近縁種も存在します。広重は珍しい鳥も知っていて作品に登場させますが、鳥そのものの彩色はDとEで異なっています。 つまり、忠実な描写でなく、試みや遊びがあって、随所にデフォルメがあります。 浮世絵や日本画のウグイスの色が忠実な写実でないことに<ウグイス-メジロ混同説>の論拠を求める人達は、絵画を楽しむ心を失っているのでしょう。絵は自由に描いていいのですよ。 余談ですが、画像Dは国立国会図書館デジタルコレクション、Eはボストン美術館からの引用です。 問題はタイトルです。 国立国会図書館:広重 ざくろに高麗鶯 ボストン美術館:Yellow Oriole and Wild Rose 鳥は高麗鶯=Yellow Oriole でよいのですが 花は ざくろ と Wild Rose どちらが正しいのでしょうか。 少し花の名前を知っている人なら、花がざくろでないことはすぐにわかります。 実際に、添え句に<長春さく>という部分があります。長春はバラと読みます。当時はやったバラの品種名で 原種に近いものでボストン美術館の Wild Rose はそのことを踏まえての訳でしょう。 残念なのは日本人の浮世絵作品に対するコメントがいい加減なことです。ひたすらデータ管理の作業していて中身をきちんと調べる所までは出来ていないのでしょう。むしろ、ボストン美術館が描かれているものを丁寧に吟味していることに敬意を表すべきなのでしょうね。 |